卵巣がん体験者の会スマイリーバナー

ovarian cancer patients support group,SMILEY

Last updated 2021-04-21 更新者:片木美穂

病院の選び方

卵巣がんの可能性が高いといわれました。
これから手術や抗がん剤治療をしてくれる病院を探さないといけません。
具体的にどのように病院を探せば良いのかわかりません。

患者会では以下のことをお伺いして病院選びをサポートしています。
血縁者に乳がんや卵巣がんの患者さんが多い、血縁者に大腸がんや子宮体がんの患者さんが多いなど遺伝性のがんの可能性も疑っている場合は遺伝性乳がん卵巣がん症候群、リンチ症候群の遺伝カウンセリングが受けられる病院
高血圧や糖尿病、その他がんとは関係のない持病をお持ちの場合はがんだけではなくトータルケアが必要な場合もあるため、がんセンター以外の医療機関(もし持病でかかりつけがあるならその病院も選択肢のひとつになるでしょう)。
それ以外の患者さんについてはがん診療連携拠点病院婦人科腫瘍専門医がいる医療機関がいいのではと考えています。
イシュランでは患者さんからのクチコミ評価も掲載されていますので参考にしてください。

卵巣がんの検診を呼びかけたい

卵巣がんと診断されてとても悲しい思いをしました。
卵巣がんの早期発見のためにも卵巣がん検診を推奨したいです。

残念ながら現在卵巣がん患者の死亡者を減らすという意味で有効とされる検診方法は確立されていません。
現在、一部自治体の検診・企業での検診・人間ドックなどでオプションとして卵巣がんの検診を行っているところがありますが、その検診の手法や卵巣がんの陽性と判断をする診断方法はバラバラで、なかには腫瘍マーカーだけ測定しCA125が35を超えただけで卵巣がん陽性と伝えたり、卵巣のサイズを測定し少しでも腫れているだけで卵巣がんと伝えることにより診断された女性が卵巣がんかもしれない不安や恐怖に晒される不利益をうけていることも散見しています。
生理周期により卵巣が腫れることもしばしばあり、腫瘍マーカーの上昇の理由はがんの増悪だけが理由ではありません。
(過去の相談者の中にはCA125が1万を超えていても良性であった方もいます。)
卵巣がんを確定するには開腹による生検(現在は一部条件下のもと腹腔鏡で組織型やステージを調べることもガイドライン上できます)となっています。
そういったことからスマイリーでは卵巣がん検診を推奨するのではなく、2018年に世界規模で卵巣がんの患者に行った調査「Every Woman Study
」をもとに2013年1月1日以降に卵巣がんと診断された女性10人のうち9人は体の異変や自覚症状を感じていた事実からそれらの症状を伝え、早めに婦人科を受診することを推奨しています。

卵巣がん以外の検診は必要?

卵巣がんと診断され広汎子宮全摘出術により子宮と卵巣と大網を切除し抗がん剤治療を受けました。
職場から健康診断を受診するように言われたのですがその項目に子宮頸がん検診や乳がん検診がありますがこれらの検診は必要ですか?

広汎子宮全摘出術により子宮を摘出している場合は子宮頸部がんの検診の必要はありません。(子宮温存した方は受けてください。)
「卵巣を切除したから女性ホルモンが低下し乳がんにならない」というのはデマです。遺伝性乳がん卵巣がん症候群以外の患者さんでも卵巣がんの治療後に乳がんになる女性はいます。対象年齢になったら受診しましょう。
日本では検診によりがんの死亡者が減ることが証明された検診については対策型検診として行っています(下図)。
これらの検診については対象年齢になったら受けるようにしてください。

子宮頸がん検査をされた

卵巣がんの経過観察にいったら子宮頸がんの検査をされました。
私は3年前に後半子宮全摘出手術を受けています。
主治医が私の病気を把握していないのではないかと思い心配です。

この件については主治医ではないので回答がとても難しいのですが、子宮頸がんの検査ではなく膣の断端部(広汎子宮全摘出で子宮をとったあと膣の奥を縫い合わせた部分で時々そこに再発転移する患者さんがいます)の細胞診をしたのではないでしょうか?
ただときおり患者さんの相談を伺っていると主治医が「子宮頸がん検査しとこっか」などはっきりと言葉にしている場合もあります。主治医もお疲れなのかもしれません。その場合は手術で子宮を切除したじゃないですかと優しく伝えてあげてください。
ただ個人的意見をいうと膣の断端部の細胞診を行ったとしてもひとこと患者さんに何をしているか主治医は伝えるべきだと思います。

卵巣がんは子どもに遺伝するの?

卵巣がんの手術後に遺伝を調べる検査を受け、BRCA遺伝子変異が見つかり「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」と診断されました。
子どもが3人いますが遺伝するのでしょうか?

遺伝子検査や遺伝子パネル検査などでわかる変異は血縁者に遺伝するもの、患者さんの個人のみの変異で遺伝しないものがあります。
BRCA1/2遺伝子の変異は前者で血縁者に遺伝する可能性があります。
その可能性は50%と言われており、男性・女性に限らず遺伝します。
男性に遺伝した場合、男性乳がんや膵臓がん、前立腺がんなどのリスクが上昇するといわれています。
ただ50%なのでこれまでの相談の中には4人姉妹全員に遺伝していたというケースもあれば、3人兄妹全員に遺伝はなかったというケースなどもあります。
またいま、患者さん自身には治療のためにも遺伝子検査は必要だったかもしれませんが親や兄妹、お子さんに伝えるかどうかということや、どういったことを伝えると良いのかといったことは遺伝カウンセラーさんと相談してください。
なお、遺伝は血縁者となるので「旦那さんの両親」など血が繋がっていない方には遺伝しません。

治療後に主治医から「普通に生活して良い」と言われましたが不安です

卵巣がんの手術と抗がん剤治療が終わりました。再発するのではないかと不安なのでなにか自分でできることはないかと主治医に相談しましたが「普通に生活をしていいよ」と言われました。
普通に生活をしていてがんになったのに、普通に生活をしていていいのか不安です。

お気持ちとてもよくわかります。
確かに主治医のおっしゃるとおり「●●したら卵巣がんの再発が減る」「●●しないと卵巣がんの再発があがる」と証明されていることはありませんから普通に生活をして何かおかしいなと思ったら病院を受診するでいいとは思います(もちろん経過観察はサボらないでください。)。
こうした治療から離れる時の不安に漬け込むインチキやデマはごまんとあることからもこの時期の不安をどう乗り越えるかは大切だと思います。
(例えば肉や魚を食べたらいけない・糖質をとってはいけないはデマです。)
ただ患者さんの相談を受けていて感じるのは「万が一の再発に備えて生活をする」ことはとても大切だと思います。
例えばですが、ベバシズマブはコントロール不良の高血圧には使えません。近年強い吐き気がある抗がん剤の制吐剤として承認されたオランザピンは糖尿病の既往があれば使えません。
こうしたことからもバランスの良い食生活と適度な運動はとても大切だと考えています。
また入院や抗がん剤治療で体力が落ちていますので体力の回復も大切です。抗がん剤治療で経験したように体が辛いと気持ちまで下がってしまいます。落ちた体力をゆっくり取り戻しましょう。
ブリティッシュコロンビア大学の研究では適度な運動はがん患者さんの不安などを軽減するとされています。ウォーキングなどを日常生活に取り入れて体力を取り戻してみませんか?

標準治療に何か民間療法を足すと効果が増強されますか?

卵巣がんの標準治療を受けていますが卵巣がんは治りにくいと聞いており他の治療も取り入れてみたいと思います。民間療法などを足せばさらに効果が上がりますか?

お気持ちとてもよくわかります。

ただなにか治療を足せば経過が良くなるかというとそれはとても難しいことかもしれません。
例えばTC療法に対してさらに抗がん剤を足せば経過が良くなるのではないかとして行われた臨床試験があります。
GOG-182という臨床試験です。
TC療法(チャンピオン)にドキシルやゲムシタビンなどを足してみて効果を調べる臨床試験でした。

しかし予想に反して抗がん剤を足しても経過はほとんど変わりませんでした。

こうしたことからも「何か足せば良くなるか」と言われると難しいと思います。

明細胞がんは抗がん剤が効かないといわれました。

卵巣明細胞がんは抗がん剤が効かないとインターネットに書いてありました。それなのにどうして抗がん剤治療をするのですか。

明細胞がんは「なにと比較して」抗がん剤が効かないのかがとても大切です。
普通に明細胞がんは抗がん剤が効かないと書いてあれば無効に近いと患者さんが受け止めてしまうのは当然です。
確かに卵巣がんのなかでも明細胞がんや粘液性がんは、漿液性がんや類内膜がんに比べて標準治療であるTC療法の奏功率は低いです。
ただ、明細胞がんについてはJGOG3014試験で初回化学療法にイリノテカン+シスプラチンの有用性が示され、その後、JGOG3017試験でイリノテカン+シスプラチンとパクリタキセル+カルボプラチン(標準治療)との比較試験を行ったところ、2年無増悪生存期間はイリノテカン+シスプラチンが73%、パクリタキセル+カルボプラチンは77.6%、2年生存率もそれぞれ85.5%、87.4%となっており、副作用の面も踏まえて明細胞がんの標準治療はパクリタキセル+カルボプラチンとなっています。
こうした数字をみていただいてもわかるとおり無効ではないこと、パクリタキセル+カルボプラチンの標準治療が最善の治療であることはおわかりいただけるのではないかと思います。
(明細胞がんの場合、パクリタキセルのアレルギーがある場合はイリノテカン+シスプラチンに変更して治療も可能です)

民間療法は効果がありますか。

卵巣がんに民間療法は効果がありますか。

「卵巣がんが治る」「卵巣がんが縮小する」といった意味での効果が証明されている民間療法はありません。
ただ、ウォーキングやヨガなどの軽度の運動やアロマなどは不安が軽減したり気持ちが前を向く、リフレッシュできるといった報告はあります。

丸山ワクチンは効果がありますか。

卵巣がんに丸山ワクチンは効果がありますか。

丸山ワクチンが「卵巣がんが治る」「卵巣がんが縮小する」といった意味での効果は証明されていません。
1966年に丸山ワクチンに抗悪性腫瘍の効果があるかもしれないと言われてから企業による承認申請、1981年厚生労働省がそれを却下し、その後も有償治験(患者さんがお金を負担する形の治験)が行われ、
2015年12月末までに、39万9787人が治験を受けても、再度の承認申請→承認に至っていないことがどういうことかということを考えてもらえたらと思います。主治医と良く話あってもらえたらと思います。

腹膜播種治療(腹腔内温熱化学療法など)は効果がありますか。

腹膜播種があります。関西や北陸のいくつかの病院で行われている腹膜播種治療や腹腔内温熱化学療法は効果がありますか。

まず腹膜播種についてですが、胃がんや大腸がんなどでは腹膜播種はステージⅣとなり手術が難しかったり治療に苦慮する場合もあるといわれています。
卵巣がんで腹膜播種がある場合はステージⅢとなります。
みなさんもご存知の通り卵巣がんは半数以上が進行がん(ステージⅢ、Ⅳ)で発見されます。
婦人科腫瘍医にとって腹膜播種は「よくあること」であり手術と初回化学療法では根治を目指します。
卵巣がん・卵管がん・腹膜がん治療ガイドライン2020(2004、2007、2010、2015のいずれも)では腹膜播種だからといって初発・再発に限らず特別な治療について記載されていません。
つまり初発・再発いずれも標準治療が行われます。
関西や北陸で腹膜播種治療というものが行われていることは知っています。
これまで支援をした患者さんが多く受けられてることも知っています。
インターネットではものすごい良さそうな情報ばかりが溢れており気になるのはわかります。
しかしスマイリーでは推奨していません。
その理由は下部に記載します。
腹膜播種は卵巣がんではよく起きることであること、悩まれた時は主治医や複数の婦人科腫瘍専門の医師からも意見を聞いて落ち着いて考えていただければと思います。
【理由1】
これまでの卵巣がん治療ガイドラインに掲載されている初発・再発時に行われる治療よりも良いと思われる臨床試験結果は見当たらない。
n=1(1人)の情報はあっても、例えば腹膜播種になった漿液性がんステージⅢ、Ⅳ期の女性100人に対して50人を標準治療、50人を腹膜播種治療でランダム比較したような臨床試験結果は示されていません。
【理由2】
これまで腹膜播種治療を受けられた患者さんの相談で、腹膜播種治療と並行して卵巣がんではエビデンスがない大腸がんや胃がん治療に用いられる抗がん剤(ティーエスワン)を投与されていた例があること。
【理由3】
これまで腹膜播種治療を受けられた患者さんの相談で、卵巣がんなんだから腹が痛くて当たり前などといい適切な痛みの緩和が行われなくて患者さんが苦しまれた例が複数あること。
【理由4】
卵巣がん・卵管がん・腹膜がん治療ガイドライン2020では腹腔内温熱化学療法に関して「腹腔内温熱化学療法は臨床試験として実施することが望ましい」となっており、さらに但し書きとして「国内の婦人科腫瘍専門医の多くが経験したことがない腹腔内温熱化学療法をどのように推薦文に反映させるか議論があった。また国内の状況から”施行しないことを推奨する”という記載の方が良いのではという意見もあり合意率は79%であった」とされており、推奨されていないこと。
【理由5】
卵巣がん・卵管がん・腹膜がん治療ガイドライン2020では腹腔内温熱化学療法の有効性を検証したOVHIPEC試験について触れられている。この試験では術前化学療法後に手術をした患者さんに対して腹腔内温熱化学療法を行った群と行わなかった群との比較を行っており、腹腔内温熱化学療法の方が良かったデータを示している。
しかし化学療法抵抗性の組織型が腹腔内温熱化学療法の群には少ない、施設間で治療成績に差がある、臨床試験自体が小規模、腹腔内温熱化学療法の群では手術中に術前化学療法の効果がみられていないということが手術中にわかっていたらその患者を省いていたなど多くの問題点が指摘されたため信用に値する臨床試験とは言えない。
【理由6】
腹腔内温熱化学療法は海外のガイドラインでも推奨されていない。日本でも保険承認されていない。