卵巣がん体験者の会スマイリーバナー

ovarian cancer patients support group,SMILEY

診断

現在のところ、卵巣がんには有効なスクリーニング検査がありません。
卵巣がんの症状や徴候がある場合、医師は以下の検査を行います。
  • 婦人科診察・内診
  • 経膣・経腹超音波検査
  • CA-125血液検査
これらの検査は組み合わせて行うことで、有効性があがります。診断にあたり、医師はさらにCTスキャンやPETスキャンを使う場合もあります。しかしながら生検が、卵巣がんを診断する確実な唯一の方法です。

診断が遅れると生存率も下がります
がんが卵巣にとどまっている段階で診断されれば、5年生存率は93%です。しかしこの段階で診断を受けているのは、卵巣がんの診断を受けた人のたった15%です。
限局的   がんが原発巣にとどまっている    診断ケースの15%
局所的   局所的なリンパに広がっている    診断ケースの17%
遠隔転移  がんが転移している         診断ケースの62%
不明    診断ステージが特定できない     診断ケースの7%
 

出典:
全米がん協会 がんの実態と統計 2007年、アトランタ 全米がん協会2007年 SEER(Surveillance Epidemiology and End Results, 米国立がん研究所)2002年

卵巣がん
 

卵巣がんの治療について

卵巣がんの主な治療方法は手術と抗がん剤治療となります。

手術について

卵巣がんでは開腹手術を行い、進行に応じてがんの切除を行います。
早期で発見された場合は一部の組織型のがんについては妊孕性温存は可能な場合がありますが、明細胞腺がんや、腹水にがん細胞が認められたりした場合は両側の卵巣、子宮、大網なども切除します。
また、明らかにがんが進行している場合や、患者さんに早期の治療が必要なのに手術がかなり先になってしまう場合などは先に抗がん剤治療を行う場合(NAC治療)もあります。
そこで病巣を小さくしてからがんを切除することもあります。

 

初回化学療法について

卵巣がん治療ガイドライン2015年版において初回化学療法は

CQ9 推奨される初回化学療法のレジメンは?
<推奨>
TC療法(conventional TC療法)が強く奨められる(グレードA)
Dose-dense TC療法も奨められる(グレードB)
 
CQ18 初回化学療法もしくは再発症例に対する治療薬として推奨される分子標的治療薬はあるか?
<推奨>
化学療法と併用して、またその維持化学療法としてベバシズママブが考慮されるが、使用する際には、慎重な患者選択と適切な有害事象のモニターが必要である(グレードC1)

となっています。
 

TC療法(conventional TC療法)

パクリタキセル(タキソール)3週間に1回
カルボプラチン 3週間に1回
を6サイクル

これまで多くの臨床試験で卵巣がんに有効で安全である治療法。
長い期間、卵巣がんの治療に標準治療として治療に用いられてきたために効果についてわかっており、副作用の対策もしっかりされている治療法です。
 

Dose-dense TC療法

パクリタキセル (タキソール)を毎週
カルボプラチン 3週間に1回
を6サイクル

この治療法はJGOG3016という臨床試験において、日本人の卵巣がんの患者さん(卵管がん、腹膜がん:ステージ2−4期)に協力していただき、従来のTC療法と、タキソールを毎週に分割して投与する方法を比較した臨床試験を実施しました。


結果、無増悪生存期間(PFS)の延長(17.5mos , 28.2mos)、生存期間(OS)の延長(中央値で62.2mos , 100.5mos)が認められました。
しかし、血液毒性が強く出てしまう患者さんがいること、患者さんの生活によっては仕事や介護・子育てで毎週の通院が困難であったり、毎週遠方から通っている、雪深い地に住んでるなどで毎週の通院の継続が困難な場合もあるので医師と相談が必要です。
またこの試験はlancetという論文にも掲載され評価されたものですが日本人だけの臨床試験です。
2017年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表された海外で外国人を対象に行われた追試(LinkIconリンク)では有意差が出なかったという報告もあり今後どのように評価されていくのかをみていく必要があります。
 

TC+Bev療法

パクリタキセル(タキソール)を3週間に1回
カルボプラチン を3週間に1回
を6サイクル
その2サイクル目から
ベバシズマブ(アバスチン)を21サイクル

2013年11月に卵巣がんにベバシズマブ(アバスチン)が承認されたことにより使われるようになったまだ新しい治療法です。
 
承認のきっかけになった代表的な臨床試験はGOG218試験です。


複数の国の卵巣がん、卵管がん、腹膜がんの患者さん(ステージ3、4期)に協力していただき、

  • 従来のTC療法の群
  • TC療法に2クール目からベバシズマブ(アバスチン)を5サイクル併用した群
  • TC療法に2クール目からベバシズマブ(アバスチン)を21サイクル併用した群

で比較した試験です。
日本人の患者さんは44名協力いただいています(米国人1800名、韓国人29名)。
 
結果、従来のTC療法に比べて、アバスチンを21サイクル併用した群が無増悪生存期間(PFS)が3.8ヶ月延長したが、生存期間(OS)の延長は認めなかったことから(LinkIconリンク)今後、国内外で行われているさまざまな追試の臨床試験の結果で評価が変わってくると思います。
 
まだ承認されて間がない治療法であることや、生存期間の延長が見られていないことから専門家の間でも意見が一致しないグレードCという推奨になっています。
 

TC+Bev療法を受ける時にはしっかり説明を受け納得して

いま、多くの患者さんがこの投稿を見て驚かれていると思います。
というのも、スマイリーでおしゃべり会をしていてもここ3年ほどに初回化学療法を受けた多くの患者さんがTC+Bev療法をされていると伺うからです。
 
TC+Bev療法が悪いとは言っていません。
ただガイドラインではまだグレードCの評価で「使用する際には、慎重な患者選択と有害事象のモニターが必要である」とされていることからきちんと患者選択をして欲しいと願っています。
その上で、患者さんにきちんとグレードA、Bという治療の選択肢があること、それらと比較してメリットデメリットを正しく説明をして患者さんが納得して治療を受けて欲しいと願っています。

適格条件
PS0−2、適切な骨髄・肝・腎機能を有する
除外条件
腸閉塞症状がある、腹部・骨盤への放射線治療歴がある、膿瘍がある、28日以内の手術施行、出血傾向がある、コントロール不良の高血圧、6ヶ月以内の心筋梗塞、不安定狭心症の既往、NYHA Grade2以上の心不全、6ヶ月以内の脳血管障害、臨床的に有意なタンパク尿を満たす患者
前治療歴が少ない患者、消化管合併症がない患者を慎重的に選択すること。
静脈血栓症を潜在的に有する場合にも留意が必要。

残念ながら患者さんの多くはなぜベバシズマブ(アバスチン)を使うのかを説明を受けていないです。もしくは医師は説明をしたつもりかもしれませんが患者会に相談されるときにその事を理解している患者さんとはほとんど出会うことがありません。
 
例えばddーTC療法の項目に書きましたが患者さんによっては毎週の治療が苦痛になる場合や骨髄抑制が出やすい患者さんもいることから、ベバシズマブ(アバスチン)の併用も検討されることもあっていいと思います。
 
しかしそう言った説明もされていないからかここのところの相談事例ではTC療法を6クールした後の維持療法としてのベバシズマブ(アバスチン)がどうして必要なのか。
アバスチンを特段の副作用が出ていないのに辞めてしまう患者さんも見受けられます。
GOG218試験の結果や、企業が提供しているアバスチンの適正使用ガイドを見れば医師は21サイクル行う意味が説明できるはずです。
また21サイクルという長期間の治療になるため、その間の治療費の負担も大きな経済的副作用となっています。
そのこともご理解いただけかなくてはいけません。
 
「どの治療がいい」と私たちがいうことはできません。
どの治療にもメリット・デメリットはあります。
どうか医師と治療内容について確認して治療を行なっていただきたいと思います。
 
 

再発治療 

(プラチナ製剤をつかった前治療から)6ヶ月以降の再発(グレードA)

  • パクリタキセル+カルボプラチン
  • ゲムシタビン+カルボプラチン
  • ドキシル+カルボプラチン

(プラチナ製剤をつかった前治療から)6ヶ月以内の再発(グレードB)

  • ドキシル
  • 経口エトポシド
  • トポテカン(ノギテカン)
  • イリノテカン
  • ゲムシタビン
  • ウィークリーパクリタキセル
  • ドセタキセル

(参考)
LinkIcon卵巣がん治療ガイドライン2015年版