卵巣がんの検査について
卵巣がんの診断は、決して簡単ではありません。
世界的な卵巣がん患者の実態調査では91%がなんらかの体の不調を感じていたと回答していますが、それは「女性なら日常にあること」「他の病気の症状に似ている」ことなどもあり、はっきりしないまま進行してしまうことも多く、見つかったときには進んでいる場合もあります。
それでも、現在はさまざまな検査を組み合わせることで、より正確に診断できるようになっています。
【よくある質問】なぜ卵巣がんは早期発見が難しいの?
1. 信頼できる「スクリーニング検査」がまだない
国が推奨する胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がん検診のように、「これを受けておけば患者の死亡数が減らせる」という検査が、卵巣がんにはありません。研究は進んでいますが、どこから・どのように卵巣がんが始まるのか、まだ完全には解明されていないためです。
2. 初期症状が他の病気と似ているため
卵巣がんの症状は、次のような「よくある症状」と重なります。
• お腹の張り
• 下腹部の痛み
• 食欲が落ちる、すぐ満腹になる
• 排尿が近い
これらは、過敏性腸症候群(IBS)や更年期、胃腸の不調でも起こるため、気づきにくいことがあります。
卵巣がんはどのように診断されるの?
症状が続く場合、まずは婦人科医 が次のような診察を行います。
- 問診(症状やがんの家族歴)
- お腹の触診
- 内診
- 必要に応じて CA125 血液検査の指示
その結果に応じて、画像検査(超音波・CT・MRI)や組織検査へ進みます。
卵巣がんの診断に使われる主な検査
血液検査(CA125)
CA125 は、男女ともに血液中にあるタンパク質です。卵巣がんで上昇することがありますが、以下でも上がることがあります。
- 生理
- 子宮内膜症
- 肝臓の病気
- 炎症性疾患
そのため、CA125だけで卵巣がんと診断することはできません。あくまで「追加検査が必要かどうか」を判断する材料です。
超音波検査(エコー)
卵巣がんが疑われる場合、次に行われるのが超音波検査です。
- 腹部超音波:お腹の上から見る
- 経腟超音波:腟から細いプローブを入れて詳しく見る
卵巣の大きさ、しこりの有無、内部の構造などを確認します。ただし、超音波だけではがんかどうかは確定できません。
X線検査(胸部レントゲン)
初期診断にはあまり使われませんが、
- 肺への転移
- 胸水(胸の中にたまる水)
などを確認するために行われることがあります。
CT検査
日本では、卵巣がんが疑われた場合に CT検査が非常によく使われます。
CTでわかること
- 腫瘍の大きさ
- お腹の中への広がり(腹膜播種)
- リンパ節の腫れ
- 肝臓・肺などへの転移
MRI検査
MRIは、卵巣のしこりの「性質」を詳しく調べるのが得意です。
- 良性か悪性かの判断材料
- 腫瘍の内部構造(水が溜まってるか、充実部があるか)
- CTでは見えにくい細かい腹膜病変
CTと組み合わせることで、より正確な診断につながります。
試験開腹手術
お腹を開けて、腫瘍の状態や広がりを直接確認し、組織を採取する手術です。
- 腫瘍の大きさや広がりを直接見る
- 腹水や腹膜の検査を行う
- 必要に応じて腫瘍を一部または多く切除する
- その場で「完全切除できるか」を判断する
日本では、卵巣がんが疑われる場合に最も確実に診断できる方法として推奨されています。
審査腹腔鏡手術
小さな穴からカメラを入れて、お腹の中を観察し、必要に応じて組織を採取する“負担の少ない手術”です。
- 開腹より体への負担が少ない
- 腫瘍の広がりを確認できる
- 組織を採取して診断できる
- 「手術で取りきれるかどうか」の判断にも使われる
腫瘍が大きい場合や破裂のリスクがある場合は適応が慎重になります。
針生検
皮膚の上から細い針を刺して、腫瘍の一部を採取する方法です。
- 体への負担が最も少ない
- CTや超音波で位置を確認しながら行う
- 手術が難しい場合に選ばれる
- 術前化学療法を始めるための診断として使われることもある
ただし、針で取れる範囲が限られるため、診断がつかないこともあります。
卵巣がんの診断は、ひとつの検査だけで決まるものではありません
血液検査・超音波・CT・MRI・生検など、複数の検査を組み合わせて、慎重に診断していきます。
不安なときは、
- なぜこの検査が必要なのか
- 次にどんな検査があるのか
- 検査にどのくらいの費用・時間がかかるのか
- 結果はいつ知らされるのか
- 結果は家族と聞く方がよいのか
- 結果をどう理解すればよいのか
遠慮なく医師に質問してください。あなたが納得し、安心して治療に進めることが何より大切です。