超音波検査(エコー検査)について
超音波(エコー)検査とは?
卵巣がんが疑われたとき、最初に行われることが多い画像検査が「超音波(エコー)検査」です。体に負担の少ない検査で、音の波を使って骨盤内の臓器(卵巣・子宮など)の様子を映し出します。
超音波検査には次の2種類があります。
- 経腟超音波検査:細いプローブを腟内に入れて、卵巣や子宮を近くから詳しく見る方法
- 腹部超音波検査:お腹の上からプローブを当てて見る方法
これらの検査で、卵巣の大きさ・形・しこりの特徴などを確認します。ただし、超音波検査だけで卵巣がんと確定診断することはできません。必要に応じて血液検査(CA125)や生検(組織検査)が行われます。
【よくある質問】超音波検査で卵巣がんは診断できる?
超音波検査では、
• 卵巣の腫れ
• しこり(腫瘤)
• お腹の中の水(腹水)
など、卵巣がんの「サイン」を見つけることができます。しかし、「がんかどうか」を確実に判断するには超音波検査+CA125血液検査+生検(組織)が必要です。
超音波検査の限界
超音波検査はとても役立つ検査ですが、次のような限界があります。
- 良性(問題のないしこり)と悪性(がん)の区別が難しいことがある
- 小さな腫瘍やごく早期のがんは見つけにくい
- 卵管から始まるタイプのがんは映りにくいことがある
- 検査する人の技術に左右される部分がある
画像診断(CT・MRI・PET/CT)
卵巣がんの診断や再発の確認には、いくつかの画像検査が使われます。それぞれの検査には「得意なこと」と「苦手なこと」があり、症状や血液検査(CA125)の変化に応じて、必要な検査が選ばれます。
CT検査
どんな検査?
X線を使って体の断面を撮影する検査で、卵巣がんの広がりを調べるときに最もよく使われます。
CTでわかること
- 腫瘍の大きさや位置
- お腹の中に広がる転移(腹膜播種)
- リンパ節の腫れ
- 肝臓や肺などへの転移
良いところ
- 一度に広い範囲を調べられる
- 再発が疑われたときの検査として広く使われている
- 検査が短時間で終わる
注意点
- 1cm以下の小さな病変は見つけにくい
- 小さなリンパ節転移は判断が難しいことがある
ガイドラインでの位置づけ
NCCN(米国)2024年版
- 再発が疑われるときに画像検査を行う
- 特に問題がなければ、定期的な画像検査は推奨されていない
ESMO-ESGO(欧州)2023年改訂
- 症状やCA125の上昇など「再発が疑われるとき」に画像検査を行う
2019年版に記載があった「定期的な画像検査」の推奨は削除されている
つまり、症状や血液検査に変化があるときに必要な検査という位置づけです。
MRI検査
どんな検査?
磁気を使って体の内部を詳しく映し出す検査です。卵巣腫瘍の性質(良性か悪性か)を詳しく調べるのが得意です。
MRIでわかること
- 腫瘍の内部構造(血液・脂肪・液体など)
- 良性か悪性かの判断材料
- 拡散強調画像で細かい腹膜病変が見えることもある
良いところ
- やわらかい組織の描出が得意
- 放射線を使わない
- CTでは見つけにくい細かい腹膜病変が見えることがある
注意点
- 再発の検出では、CTより感度・特異度が低いという報告もある
- 検査時間が長い
- 施設によって撮影方法に差がある
MRIは、CTで判断が難しいときの補助的な検査として使われることが多いです。
PET/CT検査
どんな検査?
がん細胞が多く取り込む「ブドウ糖に似た薬剤(FDG)」を使い、がんの活動性を調べる検査です。CTと組み合わせることで、どこに活動性の高い病変があるかを確認できます。
PET/CTでわかること
- 活動性の高い転移
- リンパ節転移
- 再発の可能性
良いところ
- 感度・特異度が高く、他の画像診断で再発が疑われるときに役立つ
- CTだけでは見つけにくい病変が見えることがある
注意点
- 初期診断や定期的なスクリーニングには向かない
- 検査費用が高い
- 撮影できる施設が限られている
PET/CTは、再発が強く疑われるときの治療方針を決めるうえで重要な検査です。
まとめ:どの検査が必要になるの?
| 検査 | 主な役割 | 得意なこと | 苦手なこと |
| CT | 再発の確認、病気の広がりの把握 | 広い範囲の評価 | 小さな病変 |
| MRI | 腫瘍の性質の評価 | 良性/悪性の判断、細かい腹膜病変 | 再発の検出はCTより弱いことも |
| PET/CT | 再発の評価、治療方針の決定 | 活動性の高い病変の検出 | 初期診断、スクリーニング |
画像検査は「必要なときに必要な検査を行う」ことが大切です。症状の変化やCA125の上昇があったときに、医師が最適な検査を選びます。不安なときは、
- なぜこの検査が必要なのか
- どの検査が自分に合っているのか
- どのくらいの頻度で検査すべきか
- 検査の費用はどのくらいか
- 検査が健康(被曝によるがんリスク上昇など)に影響があるか
遠慮なく医師に相談してください。あなたの安心のために、医療者はいつでも説明する準備があります。