「卵巣がんの可能性」と言われた方へ・病院選びで大切なポイント
発見時のステージと治療の考え方
卵巣がんは、自覚症状が少ないためステージ3・4で見つかる方が約半数といわれています。進行した卵巣がんの治療は、主に次の2つの方法があります。
- 先に手術を行い、できるだけ腫瘍を取り除いてから抗がん剤治療を行う(PDS:Primary Debulking Surgery)
- 先に抗がん剤で腫瘍を小さくしてから手術を行う(NAC+IDS)
どちらの方法でも共通して大切なのは、「腫瘍をできるだけ取りきること(Complete Surgery)」です。
理想は肉眼で見える腫瘍がなくなる状態、少なくとも1cm以下にすることが目標になります。
手術の質は「病院選び」で大きく変わります
「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン2025年版」では、進行卵巣がんの手術は
- 婦人科腫瘍専門医が在籍している
- 外科・泌尿器科などと連携できる
集学的治療が可能な施設で行うことが推奨されています。
実際に、
- 専門施設:Complete Surgery達成率 約60%
- 非専門施設:約25%
と、大きな差があることが報告されています。
この差は生存率にも影響することが知られています。
病院選びで見るべきポイント
不安な中で難しい判断になりますが、次の点が重要です。
婦人科腫瘍専門医がいるか
卵巣がんの手術は難易度が高く、経験が結果に直結します。
また治療は手術だけでは終わりません。抗がん剤治療も必要になります。その際に専門医がいることは(その時点であなたにとって)最善の治療選択につながります。
手術件数(症例数)が多いか
年間症例数が多い施設ほど、治療成績が安定している傾向があります。
また手術は医師1人ではできません、麻酔科医や手術室スタッフの経験も大きく影響します。
他科と連携できる体制があるか
腸管切除や尿路の処置などが必要になる場合があります。
まずは落ち着いてください
「がんかもしれない」と言われると、一刻も早く手術したいと思うのは当然です。ですが多くの場合、病院を選ぶ時間はあります。
本当に緊急性が高い場合は、医師からその説明があります。
よくある後悔
患者さんからよく聞くのは、
- もっと専門病院を調べればよかった
- 最初の手術の大切さを知らなかった
- 転院したかったが治療開始後で難しかった
という声です。
特に卵巣がんは「最初の手術の質」がその後に大きく影響する病気です。
専門施設を希望する場合の注意点
患者数の多い専門施設では、
- 紹介状が必要
- 初診まで時間がかかる
- 治療開始後の転院が難しい
場合があります。そのため、治療を始める前に相談・受診することがとても重要です。
卵巣がん(の可能性が高い)ですといわれて焦る気持ちはわかりますが、だからこそ専門施設での治療が必要であることを知ってください。
専門施設の調べ方
日本婦人科腫瘍学会のサイトから検索できます。
- 婦人科腫瘍専門医
- 専門医制度指定修練施設
https://jsgo.or.jp/specialist/
不安な方へ
「説明が難しくてよくわからない」
「どう判断していいかわからない」
そんな方のために、「卵巣がんかもしれないといわれて不安なあなたへ」という冊子も作成しています(卵巣がんさくらさんと共同制作)。
少しでも気持ちが落ち着く材料になればと思います。
https://drive.google.com/file/d/1h1FQo0Hvx6DuCZIc58qwfZezUI8lMQ8S/view
最後に
卵巣がんの治療は、どこで受けるかによって結果が変わる可能性がある病気です。
焦る気持ちは自然なものですが、どうか一度立ち止まって、「納得できる場所で治療を受けること」を大切にしてください。