【論文】 日本人の卵巣癌患者におけるカルボプラチン脱感作:前向き研究
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研究者
西村明子 1 酒井秀樹 1 尾上琢磨 1 朴 将源 1,4 横山 雄章 2 門倉 玄武 2,5 森田 智視 3 勝俣範之 2 松本光史 1
1:兵庫県がんセンター 腫瘍内科 2:日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科 3:京都大学大学院・大学 医学統計生物情報学 4:関西医科大学病院 がんセンター 5:諏訪中央病院 腫瘍内科
概要
背景
カルボプラチンは卵巣がんの治療において重要な薬剤です。
しかしカルボプラチンは過敏症反応 (HSR) を誘発することがあり、それが治療の中止につながります。
さまざまな脱感作プロトコルがこれまでに報告されています。
それらの後ろ向き研究、限られた数の前向き研究からプロトコルを分析しました。
方法
カルボプラチン誘発性HSRを経験したプラチナ感受性再発卵巣がん患者に1/1000、1/100、1/10 の希釈溶液およびカルボプラチンの未希釈溶液を使用し1 時間かけて治療をしました。
HSR が発生しなかった場合、最初の 2 サイクルでは1 液あたり 30 分間の短いプロトコル レジメンが実行されました。
主要評価項目治療完了率でした。
結果
2015年5月から2018年9月の間に2 つの施設から21人の患者と、すでに脱感作療法を経験したあとにプラチナ感受性再発をした1人の患者が登録されました。
したがって、22 のセッションが分析されました。
エピネフリンの使用、治療関連死、および集中治療室 (ICU) への入院は発生しませんでした。
脱感作サイクルの中央値は 6 回でした(範囲 1 ~ 6)。
2 つのセッションはグレード 2 の味覚障害とグレード 2 の倦怠感のため早期に中止しました。
2人の患者(9.1%)が治療中のHSR の発症のために中止されました。治療完了率は90.9%でした。
6回(27.3%)のセッション短いプロトコルレジメンへの移行基準を満たしました。
14 回 (63.6%) のセッションで、HSRが原液注入中に観察されました。
無増悪生存期間と全生存期間の中央値は、それぞれ 14.8 か月と 23.8 か月でした。
結論
この 4 ステップ(1/1000→1/100→1/10→原液)、2 時間カルボプラチン脱感作プロトコルは安全で実行可能です。
患者は注意深く監視する必要があります。
特に原液の投与中はHSR に迅速に反応します。