【お知らせ】再発した低異型度漿液性がんの患者さんへ:BARF遺伝子変異について補足説明
2022年12月12日
先日厚生労働省に提出させていただいた、再発した低異型度漿液性がんに対してのトラメチニブの承認を求める要望ですが、BRAF遺伝子変異をつけるべきかどうかというところを検討してまいりましたが、結果として「つけない」ことにしました。
理由としては、
☆要望するきっかけになったLANCETの論文
ではトラメチニブ vs.医師選択治療(パクリタキセルorドキシルorトポテカンorタモキシフェンorフェマーラの5剤のうち1つ)の第三相試験でありトラメチニブ単剤で特段遺伝子に縛りもなく行われていること。
※日本では卵巣がんにタモキシフェンやフェマーラは承認されていない
☆BARF遺伝子変異については固形がんを対象に治験がおこなわれていること。
R4.3.29 (R4薬)第534号 ダブラフェニブメシル酸塩 BRAF V600 遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(悪性黒色腫、非小細胞肺癌及び結腸・直腸癌を除く)
R4.3.29 (R4薬)第535号 トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物 BRAF V600 遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(悪性黒色腫、非小細胞肺癌及び結腸・直腸癌を除く)
☆NCCNガイドラインでもBARF遺伝子変異なしでもLGSCはトラメチニブが選択薬になっていること。
たぶん!私の英語の読解能力ではそうなってる!
以上の3点からBARFではなく再発したLGSCとさせていただきました。
<治験参加について>
なお、再発したLGSC患者さんについては、BARF遺伝子変異をお持ちの患者さんもおられます。
主治医とよく話し合いBARFの治験についてはご検討ください。
治験は研究であり、未来の患者さんのための医薬品開発です。
もちろん目の前のあなたには新薬にチャレンジするメリットはあるかもしれませんが、治験のステージによっては新薬の効果の確認よりは、新薬の忍容性や毒性の評価などが主であるものもあり、標準治療を受けていた方がよかったかもしれない場合もあります。
治験について参加を検討される場合は十分な説明を受けたうえでしっかりと参加することについて考えたうえで自発的な意思決定をお願いします。
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