卵巣がん体験者の会スマイリーについて

『がんと婚姻、出産』について 桜井なおみさんより

5月16日の東京卵巣がんフォーラムでご講演くださる、桜井なおみさんが世界卵巣がんデーによせて情報提供をくださいました。
桜井さんの許可を得て情報提供させていただきます。
桜井さんは「女性のがんに対する社会的な不利益はとても大きいです。卵巣がんは就労も影響大でしたし。。。当事者が日々遭遇する不利益を数値化することで見えてくるものがあると思っています。それを、どう、社会で解決していくかも皆で考えましょう。世界卵巣がんデーもそうしたひとつのきっかけひとつですし、5月16日の卵巣がんフォーラムも、大切な場になると思っています。」とメッセージを発信してくださっています。
桜井さん、貴重な情報提供ありがとうございました!(スマイリー代表 片木美穂)

4.jpg『がんと婚姻、出産』について、解析を行いましたので、ここにシェアさせて頂きます。
ひとつのサバイバーシップの研究課題としてお考え頂ければと思います。

■背景と目的

がんと婚姻については、これまでスウェーデンの調査「Marriage after cancer in older adulthood」J Cancer Survivor(2009)3:66-71 があり、乳がん、卵巣がん、子宮頸がんなど、いわゆる「女性特有のがん」の婚姻率の低さが指摘され、その背景として、治療による影響やボディイメージの変化、セルフエスティームの欠落などが指摘されている。
血縁を重視する日本においては、がん罹患そのものや、治療による生殖機能(妊孕性)の喪失が、婚姻に対しても影響を与える可能性があることから、既往の調査結果をもとに解析を行った。

調査方法

2010年6月1日~7月16日に行った「がん患者の就労と家計に関する実態調査(有効回答者数855名)」をもとに、①婚姻の有無、②子どもの有無、③母子家庭・父子家庭の率、について解析を行った。
※比較数値は、「男女共同参画白書 平成25年版(内閣府男女共同参画局)」にある年齢階級別未婚率を参考にした。

調査結果

1)がんと婚姻

  • 女性特有のがん経験者(乳がん、子宮頸がん・体がん、卵巣がん)の未婚率は、同世代女性と比べて2~3倍ほど高い。
  • 生涯未婚率の目安となる50歳代における全部位・男女比をみると、男性の未婚率は一般平均と同程度の数値を示すが、女性の未婚率は一般の約2.5倍の高さ。

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2)がんと出産

  • 女性特有のがん経験者(乳がん、子宮頸がん・体がん、卵巣がん)の有配偶者の無子率は、同世代平均値と比べて著しく高い。
  • 部位に限らず、有配偶者女性のがん経験者をみると、40歳代有配偶者がん経験者(女性)の半数は無子で、一般的の約6倍の高さ。

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3)一人親家庭(シングルマザー・シングルファーザー)

  • 1人親家庭のがん経験者は4.8%で、一般と比べて約3倍の高さ。
  • 内訳は、母子家庭が92.7%、父子家庭が7.3%となっている。

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まとめ

  • スウェーデンでの調査は、「女性特有のがん」において未婚率が高くなるという結果であったが、本調査では、「女性のがん経験者」の未婚率、有配偶者の無子率が、一般平均と比べて総じて高い数値となった。
  • 男性がん経験者の未婚率が一般平均であることから、女性のがん経験者に対しては、治療に伴う生殖機能の喪失や容姿の変化など、治療期と家庭的成熟期との重複、といった疫学・医学的要因のほか、①血縁を重視する日本の家族観、②病を忌み嫌う意識、③男女の性的役割に対する意識差などの、『社会的要因』も影響していると推測できる。
  • 今後は、妊孕性に関する説明・支援や臨床研究の推進、がんと遺伝に関する正しい知識の普及、小児がんを含めたサバイバーシップ・ケアの展開などが重要であり、ひとりひとりの患者が納得できる人生を歩めるよう診断前後の「生」に対する社会理解と支援が必要である。

今後の課題

  • N=855名の既往調査の再解析であり、サンプル数の限界がある。
  • 今後は数値をあげた調査や原因把握、対策を検討する必要がある。
  • 今回の解析で、特に一般との乖離傾向がみられた部位としては、女性特有のがんのほか、白血病、悪性リンパ腫、大腸がんなどがあり、追加研究が必要である。

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