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ドラッグ・ラグとは
世界的には標準的に使われている薬であるにもかからず、日本ではまだ薬としての承認すら得られていない状況を指します。
たとえば卵巣がん治療においてはリポソーマルドキソルビシン(ドキシル)が日本以外の世界80カ国では標準的に使われ、効果を発揮しているにも関わらず、日本のがん患者にはまだ承認されていないので、使用することはできないのです。
このドラッグ・ラグの原因としては、日本国内の新薬を開発する臨床試験(治験)の環境が欧米に比べて30年以上遅れている、ということが考えられています。
2007年10月13日舛添厚生労働大臣が新薬の承認にかかる期間を平均4年から1年半に短縮することを3年以内に実現すると公約しましたが、今、「待ったなし!」の患者さんからすれば、今、現在、有用性・安全性が確認されている薬剤に対しては、何かしらの配慮が必要だと思われます。
卵巣がんに関してのドラッグ・ラグ
卵巣がんは年間8000人余りが発症すると言われています。しかし自覚症状が乏しく、検診による発見も難しいがんのため、発見時にはすでに進行がんになっている場合が多いのです。
卵巣がんは、抗がん剤がよく効くがんといわれており、現在の日本の標準治療である「パクリタキセル(タキソール)+カルボプラチン(TC療法)」でがんが消滅する人も少なくありません。
しかし残念ながら再発する人も多く、やがて、それまで効果を挙げていた抗がん剤に耐性ができて効かなくなってしまいます。
また、タキソールには4%、カルボプラチンには12%の方がアレルギーを起こすとも言われています。
そうなったときに、日本では次の手として使用できる抗がん剤が限られており、やがて日本のガイドラインに定められている治療法では打つ手がなくなってしまいます。
◎現在の卵巣がん治療(卵巣がん治療ガイドライン2007年改訂版より)
■標準治療
・TC療法 パクリタキセル+カルボプラチン
■標準的初回化学療法のオプション
・DC療法 ドセタキセル+カルボプラチン
・Weekly−TC療法 パクリタキセル+カルボプラチン
・CPT−P療法 イリノテカン+シスプラチン
・CAP療法 シクロホスファミド+ドキソルビシン(未承認)+シスプラチン
・CP療法またはCC療法 シクロホスファミド+シスプラチンまたはカルボプラチン
・ シスプラチン単剤
・ カルボプラチン単剤
■再発卵巣がんの化学療法
パクリタキセル単剤
イリノテカン単剤 再発卵巣がんに対してランダム化試験されていない
ドキシル単剤 未承認
トポテカン単剤 未承認
ドセタキセル単剤
ゲムシタビン単剤 未承認
エトポシド単剤(経口) 未承認
イリノテカン+エトポシド(経口) 未承認
ゲムシタビン+ドキシル 未承認
※エトポシド(経口)とドキソルビシンに関しては、2007年9月21日に社会保険適用が審査で認められています。
◎世界での標準的治療は・・・
「リポソーマルドキソルビシン(商品名:ドキシル ヤンセンファーマー株式会社)」は再発卵巣がんに対して有用性・安全性が評価されている抗がん剤です。世界80カ国で卵巣がん治療に使用されています。 日本ではカポジ肉腫に対して2007年1月に承認され、再発卵巣がんに対しては第6回未承認薬検討委員会で早期に承認申請されるべきということになり、2007年1月に承認申請が厚生労働省に提出されました。 【資料】主な使用国
また、「トポテカン(グラクソスミスクライン/日本化薬)」はイギリス、アメリカ、オーストラリア、南アフリカなど世界70カ国以上で治療に使用されており、2007年5月に承認申請が出されました。
「ゲムシタビン(日本イーライリリー)」はアメリカ・ドイツ・デンマーク・ハンガリーなどで使用されており、日本でも肺がんなどの治療に承認されています。しかし卵巣がんに対しては治験等も行われていません。 「ゲムシタビン」は、日本では未承認ながらも使用実績もあり、同じく未承認ながらも2007年9月21日に保険適用されているアドリアシンや経口エトポシドなどと同様に保険適用されるべき薬剤です。
有用性・安全性が認められている抗がん剤がどうして日本で使用できないのか・・・サバイバルベネフィット(※)の面も考慮し、患者の立場からの働きかけを行うべくスマイリーは活動を行っています。
※サバイバルベネフィット・・・既存の治療法にこれらの抗がん剤が加わることで患者の生存率・生存期間の伸びる可能性。薬剤の効果ではなく生きるための効果。
ドラッグ・ラグに関しての取り組み
2006年夏 「卵巣がんネット患者会」が、「リポソーマルドキソルビシン(ドキシル)」他の早期承認を求めての活動を開始。
2006年9月1日 「卵巣がん体験者の会スマイリー」が「卵巣がんネット患者会」より、内容を引き継ぐ形で活動を開始。
2006年9月25日 要望文を32回もの作り直しの末に完成させ、署名活動をスマイリーとして再始動。
【資料】卵巣がん治療に関する要望書
2006年12月31日 署名受付終了。28603筆。
2007年1月〜4月 政治の動向を見ながら、より私たちの思いが伝わるように補足資料等を作成。提出準備。
2007年4月27日 厚生労働省医薬食品局審査管理課中垣課長に署名28603筆と補足資料等を提出。 厚生労働省から医薬品医療機器総合機構が出したドキシルに関して”優先審査に該当しない”という資料をいただく。 【資料】補足資料 /補足資料 /提出の様子
2007年5月15日 優先審査に該当しないという資料に対して追加質問を提出。
【資料】追加質問書
2007年8月27日 厚生労働省から回答が届く。 【資料】1枚目 /2枚目
2007年9月27日 厚生労働省医薬食品局審査管理課との懇談会。
優先審査の提議について、CU制度について、サバイバルベネフィットの考慮についてなど2時間情報交換する。 同行:CNJ柳澤様、医薬経済坂口様、日本テレビ町様
2007年10月12日 「日本テレビニュースリアルタイム」の「ドラッグ・ラグの特集」にてスマイリーが紹介される。 【資料】報道されたVTR
2007年10月13日 舛添要一厚生労働大臣が「新薬の承認機関を3年以内に現在の平均4年から1年半(欧米並み)に短縮する」と公約。
2007年11月 ドキシルが迅速審査になったとの情報があり製薬会社に確認
2007年11月〜 迅速審査でも承認までにはまだ時間がかかると思われるため、それまでの間、有用性・安全性を考慮し保険適用してもらうための活動を開始する。またCU制度・混合診療に関して勉強を深め、よりよい卵巣がん医療、医療費の問題に関しても患者の立場から考えての活動を展開中。
2008年2月3日 日本テレビ「NNNドキュメント〜渡された命のバトン〜」に出演。
2007年2月9日 東京大学HSPのシンポジウムにて政策提言としてドラッグ・ラグの問題についての取り組みを発表する 【資料】当日のスマイリー発表スライド
2007年2月17日 「ドラッグ・ラグ 私たちが知っておくべきこと・できること」シンポジウム開催。立ち見も出る満員御礼のシンポジウムでドラッグ・ラグについて発表する 【資料】シンポジウムでの提言書 /当日のスマイリー発表スライド
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