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ovarian cancer patients support group,SMILEY

EVERY WOMAN STUDY – WOMEN’S SURVEY – JAPAN
エブリ・ウーマン・スタディ(EVERY WOMAN STUDY)―女性を対象とした調査―日本


 この調査のTHE EXPERT ADVISORY PANELには日本人代表として鈴木牧子さん(LinkIcon特定非営利活動法人がんピアネットふくしま ・理事長)に会議や調査の日本語訳・英語訳などお力添えを賜りました。
また、日本語訳に関してはLinkIcon一般社団法人日本癌医療翻訳アソシエイツ(JAMT)にもお力添えを賜りました。
この調査の予備調査としてアキコさん、ハルミさん、カヨコさんに世界卵巣がん連合(LinkIconWorld Ovarian Cancer Coalition)のSkypeを利用したインタビューに協力いただきました。
また本調査に協力いただいた日本人は250名でした。
すべてのみなさまに感謝申し上げます。


A total of 1531 women from 44 countries took part in the online survey between 5th Marchand 8th May 2018. 
2018年3月8日から5月8日までの期間で、世界44カ国、1531名の女性がこの調査に参加しました。
JAPAN 250 respondents in the survey of 1531 women worldwide .
世界1531名の女性が参加したこの調査に日本からは250名が参加しました。


有意水準は、*p<.05と記載されている以外は、すべてp<.01と設定されていました。P<.01とは、回答が間違っている可能性が1%以下であることを示し、p<.05とは回答が間違っている可能性が5%で以下であることを示します。


記載されている箇所以外、日本人の結果は本試験(全体)の平均値と一致しています。


この調査は世界卵巣がん連合(LinkIconWorld Ovarian Cancer Coalition)が実施し、私たちスマイリーは世界卵巣がん連合に参加しています(LinkIcon連合参加国・参加団体確認はこちら)。


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引用する場合は必ず出典元(原文:LinkIconこちら 日本語訳:本ページ)を明示してください。

項目  全体の主要な結果
(EWSサマリーレポート)

日本人に特異的な結果
(EWSサマリーレポート)
認知度及び診断         3分の2以上(69.1%)の女性が卵巣がんについて聞いたことがない又は何も知らないと回答しました。 日本人女性では、より多くの割合の女性が卵巣がんについて聞いたことがない、もしくは何も知らないと回答しました。
(全体平均69.1%に対して82%)
14%弱の女性がウエストサイズの増加または持続するお腹の張りが卵巣がんのサインの可能性があることを知っていました。
これらは、卵巣がんの最も一般的な症状として認知されているものです。
 
90%以上の女性が、複数の症状を経験したと報告しました。
ステージIの卵巣がん女性87.4%が症状を報告しました。
IからIIIの各ステージでは平均4症状、ステージIVでは平均5症状を経験していました。
 
平均して78.3%の女性が症状に関して、医師に相談しました。 全体平均よりかなり低い割合の日本人女性が、症状について医療者に相談していました(全体平均78.3%に対して62.8%)。
医療者に症状について相談しなかった(症状がなかったのではなく)女性では、別の方法で卵巣がんがみつかりました。
4分の1の女性が、症状を医師に相談する前に3ヵ月以上待ったという結果でした。
6ヵ月以上待ったという女性が10分の1いました。
 
平均して、43.2%の女性が医師を訪ねてから1カ月以内に卵巣がんと診断されました。 症状について医療者に相談した日本人女性は、全体平均と比べて、1カ月以内に診断された割合が高い傾向が認められました(56.3%対43.2%)。
初診から診断までに1年以上かかった女性の割合も全体平均と比べて、非常に低いという結果でした(2.8%対11.3%)。
症状を自覚してから診断されるまでの平均推定期間は31週で範囲は21.3週から36.5週でした。 症状を自覚してから診断されるまでの推定期間は、全体平均31週に対して、日本人女性は21.7週でした。

症状を自覚してから、医療従事者に診察を受けるまでの推定期間は10週で、おおむね全体平均と同じでした。
初診から診断までの推定期間は、日本では11週、全体平均では20週でした。
  診断時のステージに関して、明細胞または類内膜がんのステージIと診断される割合が、日本人女性では、すべての国を含めた全体平均より高い傾向が認められました(69.7%対57.2%)。
また、明細胞または類内膜がんのステージIIIと診断される割合が、日本人では全体平均より低い傾向が認められました(11%対18.9%)。
CA125および経腟超音波検査(TVU)は、最初に実施する検査として最も多く挙げられた検査でした(それぞれ25.4%、21.2%)。 日本人女性では、最初に実施された2つの検査の1つとしてCA125検査が実施されたと報告した割合が低く(18.8%対25.4%)、腹部超音波検査も低い結果でした(8.3%対13.7%)。
CTスキャン検査を受けたという報告が多い傾向でした(21.6%対7.7%)。
家族歴および遺伝子検査   回答した女性の18.4%に卵巣がんの家族歴がありました。10.3%はわからないまたは思い出せないと回答しました。
回答者の多くが、卵巣がんに罹患したことのある血縁者が1名だけいると回答しました。
38.4%に乳がんの家族歴がありました。
 日本人女性では、全体平均と比較してより多くの女性が卵巣がんに罹患したことのある血縁者が居ないと回答しました(82.8%対71.2%)。
父系家族歴は母系家族歴と同様に重要です。
母系の祖母は、父系の祖母と同じくらいの割合で乳がんまたは卵巣がんの家族歴に影響しています。
 
卵巣がんに罹患したことのある血縁者が2名以上いる女性の80%が、自身が卵巣がんの診断を受ける前に検査を受けていませんでした。  
平均して、本研究の54.7%の女性が診断の前または後に遺伝子検査を受けました。
範囲は9.6%から80.6%でした。
日本人女性では、卵巣がんと診断を受ける前または後に遺伝子検査を受けた割合は、世界で最も低いという結果でした(9.6%対54.7%)。
漿液性卵巣がん割合は同じ程度であるにもかかわらずです(34%)。
治療へのアクセス 91.5%の女性が、常にまたは多くの場合、尊厳と尊敬を持って治療されたと回答しました。  
30.9%の女性が、卵巣がんに診断されることにより、経済状況が非常に大きく影響されたと回答しました。 日本人女性では、診断により経済状況に影響を受けたと回答した割合は、全体より低い結果となりました(5.1%対12.7%)。
経済的な援助が必要と回答した割合は、全体平均と比較し非常に多い傾向でした(全体平均14%に対して26.8%)。
5人に1人の女性が術前化学療法を受けました(20.7%)。  
94.2%の女性が卵巣がん治療のため手術を受けました。  
12%の女性が、1回目の手術でがんの切除は十分でなく、2回目の手術を受けました。  
9.6%の女性が再発した卵巣がん治療のための手術を受けました。  
9.8%の女性が腹腔内化学療法を受けました。 日本人女性では、腹腔内化学療法を受ける割合は、全体平均と比較して低いことが示されました(3.7%対9.8%)。
情報 10人に6人の女性が卵巣がんと診断されショックを受けたと回答しました。  
半分以上の女性が診断時に必要な情報をすべては得られていませんでした。  
7人に1人(14.5%)の女性が、診断を告げた医師がその説明に使用した時間は5分以下だったと回答しました。  
必要な情報をすべて得られたと感じた女性は、医師からより長い時間(15~30分)の説明を受けたか、書面による説明資料を受け取っていました。  
5人に1人の女性しか、いつでも必要な情報すべてが得られたと回答しましたー19.7% 日本人女性では、治療を受けている間に必要なすべての情報が得られたと回答した割合は非常に低いと示されました(全体平均19.7%に対して4.2%)
約3分の1(19.6%)の女性がインターネットで恐ろしい情報をみつけたと報告しました。  
精神および身体 女性が、精神的および身体的に良好であると感じる程度が、卵巣がんを罹患した女性の生活の質を決めるうえで最も一般的で同等の意味を持つ因子でした。  
65.9%の女性が診断時に精神的なサポートが必要であったと回答し、46.8%が初回治療後に精神的なサポートが必要であったと回答しました。 日本人女性では、診断時または初回治療後に精神的サポートが必要だったと感じた人は、全体平均よりかなり低い傾向がみられました(21.5%対32.1%全体平均、および11.7%対22.8%全体平均)。

しかし、がんの再発時、またはがんが根治しないことを告げられるときにサポートが必要であると回答した割合は非常に高いことが示されました(33.7%対20.5%および29.6%対16.55)。
またサポートが必要な時に、その時間はなかったと言った女性の割合も大幅に少なかった(0.8%対4.3%)。
10人中9人の女性において、身体的および精神的な健康問題を含む長期副作用が残ったままです。  
28%の女性は、医療者からサポートの申し出がありました。
多くの女性が、家族(69.5%)、友人(62.3%)および他の卵巣がん患者(40.3%)にサポートを仰ぎました。
日本人女性では、精神的サポートの必要性を医療者に求めると回答した割合は、全体平均より非常に低いとの結果でした(14.4%対23.8%)。

日本人女性は、サポートを求めなかったまたは援助の申し入れはなかったと回答した割合が、(いずれの状況においてもサポートが必要ではないと回答した割合が最も低かったにもかかわらず)最も高い値を示しました(32.5%対19.3%)。
臨床試験 3分の2弱(64.3%)の女性が医師と臨床試験について話し合わなかったと回答しました。範囲は80.5%から47.1%でした。 日本人女性では、臨床試験について何も話し合わなかったと回答した割合が最も高く(80.5%対64.3%)、臨床試験参加の可能性を尋ねられた割合もたった12.5%でした(全体平均23.7%)。
23.7%は医師から、10%は患者本人から臨床試験の話を始めました。  
合計12.4%の回答者が、臨床試験に参加しました。一方で、臨床試験に参加したくないと回答した割合は2.7%でした。  

その他の統計的に有意であった日本人女性の結果(詳報)

  • 日本人女性では、退職した割合が全体平均と比較して、非常に低いという結果でした(4.4% vs 13.6%)。
  • 診断時に就業していた日本人女性は、治療のための休暇を取らなかった割合が、全体平均と比較して、低いという結果でした(2.9% vs 7.6%)。
  • 日本人女性では、全体平均と比較して、41~50歳の年齢層の割合が高く(52%対31.6%)、51~60歳の年齢層と61~70歳の年齢層の割合は低いという結果でした(22.4%対32%、2.4%対14.2%)。
  •  日本人女性では、自分の卵巣がんの種類を知らない割合(4%対12.5%)または不特定な組織型の上皮性卵巣がんと告げられた割合が低い(2.4%対5.7%)という結果でした。
  • アンケート参加した日本人女性において、明細胞卵巣がんおよび類内膜がんの割合が高いという結果でした(22%対9.4%、21.6%対10%)。
  • 原発性腹膜がんの割合が低いと報告されました(0.8%対4.5%)。
  • 特定の組織型については、日本人女性の若い年齢層で割合が高くなっています。明細胞と類内膜がんでは、日本人41~50歳の年齢層の割合は58.7%、対して米国の同年齢層の割合は23.3%、全体平均は43.4%でした。漿液性卵巣がんでは、日本人41~50歳の年齢層の割合は45%であるのに対し、カナダの同年齢層で13.5%、全体平均は29.2%でした。一方で61~70歳の年齢層では全体平均より低い(5%対16.9%)という結果でした。
  • 医療従事者に相談した女性では、最初に婦人科医に相談するという傾向がみられました。
  • 日本人女性は、説明資料を受け取ったと回答した割合が高いという結果でした(35.8%対27.5%)。
  • 全体平均と比較して、日本人女性のかなり少ない割合の人が診断時の対応がとても良かったと回答しました(13.1%対43%)。
  • 日本人女性は、手術を受けた病院までの移動が2時間以上かかった割合がかなり低いという結果でした(1.5%対10.3%)。
  • 日本人女性では、手術に関して質問する十分な時間があったと回答する割合が全体平均より低く(51.5%対62.7%)、化学療法に関して質問する時間に関しても同様(43.6%対64.8%)の結果でした。
  • 日本人女性では、化学療法の説明資料を受け取らなかったと回答した割合が低いという結果でした(2.7%対11.1%)。
  • 日本人女性では、治療中に常に尊厳と尊敬を持って扱われたと回答した割合がかなり低く(31.8%対54.5%)、また自身の治療に関する決定に関して、自分が希望する範囲で関与したと報告した割合もかなり低いという結果でした(22.8%対45.3%)。
  • 日本人女性では、セカンドオピニオンが欲しいと回答した割合がかなり低いという結果でした(21.9%対39.1%)
  • 日本人女性は、他の女性と知り合う機会(オンラインまたは面談)を得た割合がかなり低く(29.7%対19.3%)、また、オンラインで女性と知り合う機会を得た割合もかなり低いという結果でした(11.3%対26.7%全体)。
  • 日本人女性では、日々の雑用に対するサポートや、身の回りの世話を必要と回答した割合が非常に低いという結果でした(4.5%対9.8%)。
  • 実用的なサポートが必要と回答した日本人女性のうち、53%が実際にはサポートが得られなかったと回答しました。この結果は、全体平均は16.3%で、大きくばらつきがありました。
  • 日本人女性は、自身の生活の質を6.8と評価し、これは平均の6.9/10に非常に近い結果でした。
  • 日本人女性は、卵巣がんの女性が長期的に良好な生活を送るための行政の取り組みを3.7と評価しました。全体平均は、4.3(範囲3~5.4)でした。

日本人女性が、アクションが必要と回答したトップ3

1. スクリーニング検査の開発
2. 新たな治療薬の開発
3. 症状に対する認知向上

Every Woman Study報告書(LinkIconこちら)に含まれた引用文

  • 日本政府はがん患者に対しより良い環境を提供できるよう取り組んでいるように見えますが、地方における課題は依然残っています。地方の患者がセカンドオピニオン得るには不便です。[日本]
  • 特に、就業支援に関する世界の認知は低いです。地方都市では、病気であるとわかると雇用は解除されるでしょう。パートタイムで働くこともできません。テレビのコマーシャルで、がん患者は治療中でも働けることは知られていますが、実社会では行われていません。[日本]
  • まず始めに、卵巣がんの知識が一般に広がっていません。がんに関する一般的な情報が正確に伝えられていません。がんの恐怖だけが際立っています。治療における安全な薬や対処法などの情報がありません。[日本]